***心模様***

後期高齢者になった両親の老々介護・それを支えていくこどもたちのお話が主です。スピンオフとして私の趣味の写真などを載せていきます。

母を入院させる。

下がお盆休みに入ったと同時に、地域包括支援センターに連絡をして「このままでは父が倒れるので、入院させたい」という希望を出した。担当のケアマネさんが勧めてくれた病院に”今日”入院させると決まったのだが、時間的な制約があり、タイムトライアルのように両親はタクシーでそちらに向かった。

私は仕事をしていて、電話がかかってきて(詳細は後述するが)「そういうことでいいね?」ともう、頷くしかなく、入院する時間を聞き、保証人として近くにいる娘という位置づけで話が進んでいるということを聞いた。

仕事は(皮肉なものだが)国保介護保険の負担割合・重心の切り替え時期でカルテが探しきれないので、途中で帰りそのまま病院へ向かった。

 

今回の入院は精神保健法の中の医療保護入院になっている。精神疾患認知症か分からないが、せん妄と小さな徘徊を繰り返すという事情を踏まえると、緊急性を要すると判断したのかとも思う。母も同意の上で荷物を纏めていた位で(そういうところは判断がつく)父もいくつかの病院に断られた経緯を踏まえるともう、お手上げだったのだ。

 

「印鑑ある?」が、書類を書くのにうんざりしていた父の第一声だった。ごちゃごちゃバッグには大抵のものは入っている。個室から大部屋に行く際の差額ベッド代云々、どこでもある話で、捺印してから色々聞き、判断をしていた。

その後看護師が来て衣類の記名・持ち込めるもの・どういうシステムかを説明を受けた。マジックまで入っている私のバッグを笑いながらも「どうぞ~」と看護師が差し出してくれて2人で書いていた。「今日は鍵のかかった個室に入ることになります」これが下が私に確認したことだった。「そういう形になるけどいいか?」と。異論があるわけはない。今必要なのだから。だから入院当日は母には会えず、入院時に来ていた私服を持ち帰った。

 

その後、担当医とのセッションの時間が設けられた。下と直接話をしているようで、話が通っていた。胸部レントゲンを見ながら「お母さんですが、心不全を起こしています。むくんでいることに気づきましたか?」「上瞼がおかしいと思いました(後で手もむくんでいたことを言い忘れたが)顔が変わったなと」「そうでしょう?心筋は衰え再生はききません。今回まず、心不全の方を治します。水分制限と、場合によっては薬で水分を排泄させるようにします」水頭症ということだろう。

「それから、問題は薬の多さです。高齢者が13種類の薬を飲んで、身体が受け付けるわけはないんです。ですから一部残して断薬します。それで鍵のかかるお部屋ということになったんです」このパターン、2度目である。(この件、時期を見て後述したいと思う)

 

その後頭部CTの説明。前頭葉が少し空いていること・海馬は若干空いているが…と見ると、アルツハイマー認知症ではないだろうこと。水分が前頭葉を圧迫しての病態であれば、今の治療で軽減するであろうということ。

 

私はレビー小体型認知症に関しての質問をした。「パーキンソン症状が出るということですが、数年前に口をもごもご…ジスキネジアをしていたことはどうなのでしょうか?」職業を聞かれ、納得されたが(笑)「それはドグマチールの副作用でしょう。レビー小体型認知症は僕も視野に入れています」と回答があった。

 

アルツハイマー型ではないという部分を聞いた父(しつこいようだが耳が悪い)が楽観してしまい、下がそれを電話で聞いて「説明しなきゃ…明日朝一で行く」と、帰宅してかけた電話で言うという顛末になった。父は私の話よりは下の方を優先するから、「休みなのに申し訳ないね」と詫びを入れ、「明日は私の方で地域包括支援センターと市役所に報告やら問い合わせをしてみるわ」と話した。

 

「おれ、今日は疲れたけどホッとしたよ」と父。2か月の間、私には言わなかったことが少しずつ明確になってくる。近所の店に行こうとして分からなくなって袋小路で蹲っているところを、仲のいい奥さんが見つけてくれたことが何回もあったこと。買い物に行けた時には良く行く用品店で毎回買い物をし、高額なバッグも買っていたこと。この買い物癖に関しては以前からあって、父が注意をしているが一向に直らなかったらしい。我が家の子供も「おばあちゃん、着ない洋服を何で買ってくるの?」と指摘していたのだが、耳を傾けることはなかった。

 

父は夏に弱い。何回か体調を崩して救急車を呼んだこともある。その時母がパニックになり、私が搬送された病院へ駆けつけたこともあった。だからこそ下は父の身体が心配で、このような医療保護入院という形を選択し、間違ってはいなかったと思っている。

勿論、誰もの心が涙を堪えている。「加齢(老化)だから」と済ませるしかないとしても、穏やかに夫婦で寄り添える時間を取り戻せるかどうか。父と共に駅まで戻り、疲れて買い弁を希望した私に、夫は何も言わずに買い物へ連れて行ってくれた夕焼けを忘れることはない。