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***心模様***

後期高齢者になった両親の老々介護・それを支えていくこどもたちのお話が主です。スピンオフとして私の趣味の写真などを載せていきます。

Adagioなペースで自分を取り戻している母。

入院9日目。毎日行くわけではないので、床頭台の周りが変わったなと思う。時計だったり、ノートとペンも父が持ってきたようだ。

せん妄している物事は相変わらず。家の中の不信感が未だ残っている。母が書いたノートをこっそり見ると(ちょうど検査に行った)父との出会いの時期まで伸びてきた。何度破いて、書いたのだろう。「ふりがなつけるなんて無理よ」と言う。反故を父が探し出すと「それはプライバシーの侵害!」と怒る。父に対してはそういう感情をぶつけることも変わらないが、笑って済ませられるようになっている。病院だからかもしれない。

 

私は今日、頼まれたので身体を清拭した。といっても専門ではないので、熱いタオルで拭いて乾いたものでまた拭く。自分がやりたいところは母にして貰った。そして着替えるのだが、足を拭いて靴下を履かせようとしたとした時に泣きべそをかいている。「お父さんが気に入らないと私を何度も蹴った」この”お父さん”という言葉がまことに厄介で、私の父なのか、母の父なのか、スタッフも悩まされているらしい。帰りに聞かれたのが「ご主人をお父さんって呼んでます?」「はい…(私たちが小さい頃はパパだったけど)そうです」 

そのなきべそは反対側の足を同じようにしたら終わっていた。いつまでも泣いてはいないし、涙を浮かべる時間はだいぶ減った。

 

医師から「アリセプトという薬を飲んでもらっています。認知症薬ですけれど、脳の活性化のためです」という話を頂いた。「認知症という感じではないんですよ。頭の中が曇っているようなんです。数日後に増量をしてみますが、それで少しでもせん妄がひいてくれたらいいと思っています」とのこと。

 

話はSMAPの解散の件にもなる。また話をする人もできたそうで、色々な事情で入院しているんだなという理解力はある。部屋は個室なのだが「退屈だから」とラウンジに顔を出すこともあるそうだ。

 

仕事が始まるとそうそう行けなくなるので、今日は家から歯ブラシを持参して交換をすることにした。勿論、看護師に確認してからだけど、母にそれを言うと「よく気づいたね。もう急いで入れたからダメになってたのよ」と喜んでいた。「そうだよね…自分の歯が27本あるんだもの。それは自慢していいことなのよ」ちなみに入院する際に歯間ブラシを持っていた母である。流石にそれは持ち帰るように言われた。

 

ゆっくりでいい。自分を取り戻して欲しい。朗らかな笑い声をたくさん出せますようにと皆が願っている。

そして子供たちは、いずれ訪れる退院の後、在宅か、施設のどちらが両親に(特に父)ふさわしいのかを考えはじめている。